茶の湯たび
“Chanoyu” trip.
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6 大乗院庭園
大乗院庭園は西側に御殿が建ち、東側に池を配置し、池の中には島が作られ、平安時代から流行した貴族の邸宅の庭園様式を踏襲した池泉回遊式の庭園である。
これは歴代門跡が皇族や摂関家から輩出されている由緒と深い関係にある。
足利義政に仕えた同朋衆であり、当時随一の作庭家として知られた善阿弥父子を招いて作らせ、その見事さから南都随一の名園として知られていた。
復興後、日本を代表する貴族が集い、能楽を催行したとされる記録が、尋尊の記した「大乗院寺社雑事記」に記されている。
また庭園内には江戸中期、千利休の弟子であった武将茶人古田織部の好みになる茶室「含翠亭(八窓庵、奈良国立博物館内に現存)」が設けられ、茶の湯も盛んに催された。
同茶室は同じく興福寺塔頭慈眼院の六窓庵 (東京国立博物館内に現存)、東大寺四聖坊の隠岐録(東京へ移建の後、戦災で消失)と共に大和の三茶室といわれた。
また珠光の一番弟子といわれる古市播磨守澄胤は、大乗院の衆徒(家臣)であり、大乗院を中心に奈良の室町文化サロンが形成されていた様子を窺い知ることができる。